紙のノートの唯一にして最大の弱点
手書きのノートには、書きながら考えが整理される、図と文字を自由に混ぜられる、通知に邪魔されないといった、デジタルにはない利点があります。使い続けている人が一定数いるのは、それなりの理由があるからです。
一方で、決定的に劣る点が一つあります。検索できないことです。半年前に書いたはずのメモを探すために、何冊ものノートをぱらぱらとめくる。この時間が積み重なると、結局は使わなくなっていきます。
この問題への対処として、書いたページを写真に撮って保存する方法がよく挙げられます。ただし手書き文字の認識精度は印刷物ほど高くなく、走り書きや図が混ざったページでは実用にならないことが多いのが実情です。撮影と整理の手間に対して、得られる検索性が見合いません。
そこで現実的なのが、全文検索を諦めて索引だけを作るという方向です。この記事では、通し番号とインデックスだけで紙のノートを引けるようにする仕組みを紹介します。
仕組みの全体像
やることは三つだけです。
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ノートに通し番号を振る
1 冊目、2 冊目と番号を付け、表紙と背に書きます。 -
すべてのページに番号を振る
使う前に、あるいは書いたその日に、ページの隅に番号を書き込みます。 -
キーワードと位置の対応表を作る
「キーワード」と「ノート番号 - ページ番号」の組を、どこか一か所にまとめて記録します。
これだけで、探し物は「対応表を見る、該当ページを開く」という二手に短縮されます。ノートの中身を全部読む必要はなくなります。
ページ番号の振り方
あらかじめ全ページに番号を振ってしまう方法と、書いたときに振る方法があります。前者は一度の作業で済み、後者は番号の抜けが起きません。
おすすめは、新しいノートを下ろした日に、全ページの右下へ通し番号を一気に書いてしまう方法です。100 ページ程度なら 15 分ほどで終わります。番号が最初から存在していると、書きながらその場でインデックスを作れるようになるため、後回しにする理由が消えます。
ページ番号を印刷済みのノートも市販されているので、そちらを選んでも構いません。
インデックスをどこに置くか
インデックスの置き場所には二つの選択肢があり、それぞれ性質が異なります。
ノートの巻頭または巻末に置く
ノートの最初の数ページを索引用に空けておき、そこに書き足していく方式です。ノートと索引が物理的に一体なので、持ち出したときにも使えます。
欠点は、複数冊にまたがった検索ができないことです。「あの話はどのノートに書いたか」が分からない段階では、結局すべての索引を見ることになります。
別のファイルにまとめる
テキストファイルや表計算ソフトに、すべてのノートのインデックスを集約する方式です。こちらは全冊を横断して検索できます。
行の形式は単純で構いません。
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日付、ノート番号とページ番号、内容を示す語句。この三つがあれば十分です。検索はテキストエディタの機能で足ります。
手間はかかりますが、この方式が最も強力です。紙に書く自由さと、デジタルの検索性を、最小のコストで両立できます。
インデックスに書く語の選び方
ここが運用の成否を分けます。見出しをそのまま写しても、後から探すときには役に立たないことが多いのです。
意識すべきなのは、書いた瞬間の呼び方ではなく、後で思い出すときの呼び方です。会議のメモを「定例」とだけ書いても、半年後にはどの定例か分かりません。「定例 / 新機能の仕様変更 / A 社」のように、後から手がかりになりそうな固有名詞を並べておくほうが、はるかに見つかります。
語を絞る必要はありません。索引の行は長くなっても検索性を損ないません。むしろ、思い付いた関連語をすべて並べておくほうが安全です。
やってはいけない運用
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用途ごとにノートを分ける
仕事用、勉強用、私用と分けたくなりますが、これは失敗しやすい運用です。どのノートに書くか迷った瞬間に手が止まり、結局どこにも書かなくなります。時系列で 1 冊に混ぜて書き、分類はインデックス側で行うほうが続きます。 -
あとでまとめてインデックスを作る
数週間分をまとめて索引化しようとすると、まず終わりません。書いたその場で 1 行足す、あるいは 1 日の終わりにその日の分だけ足す。単位を小さく保つのが唯一のコツです。 -
清書する
ノートを見返して整理し直す運用は理想的に見えますが、負荷が高すぎます。索引方式の利点は、汚いままのページでも到達できることにあります。 -
日付を書かない
日付は最も強力な検索キーです。内容を思い出せなくても「あの時期」は覚えていることが多いためです。ページの上部に必ず書きます。
最小構成から始める
いきなり全部を整えようとすると挫折します。まずは次の二つだけで試してみてください。
一つは、今使っているノートの各ページに日付を書くこと。もう一つは、後で見返しそうだと思ったページだけ、番号と一行の説明をテキストファイルに残すことです。
すべてのページを索引化する必要はありません。実際、後から探されるページはノート全体の 1 割にも満たないはずです。その 1 割にだけ手をかければ、体感的な検索性はほとんど変わりません。
まとめ
紙のノートが使われなくなる原因は、書きにくさではなく探しにくさにあります。そして探しにくさは、全文検索がなくても索引だけで大部分が解決します。
ノートに通し番号、ページに番号、キーワードと位置の対応表。この三点セットを用意し、対応表だけをテキストファイルで持てば、手書きの自由さを保ったまま数十秒で目的のページに到達できます。
重要なのは完璧を目指さないことです。後で探しそうなページにだけ 1 行足す、という緩い運用でも、何もしない状態とは比べものにならない効果があります。
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